最強無敵のマジなレンアイ by真珠

7.ファイナルアンサー

あたたかな温もりが心の震えとともに伝わってくる。

「貴女が女王候補の頃、みなさんと出かけるのを見るたび、楽しそうに話すのを見るたび

何故、心が痛んだのか。嫌われていると思っても貴女の姿や明るい絵顔ばかり目が追っていたこと。

女王になられてからも、疲れてはいらっしゃらないか、何を想っていらっしゃるのか

貴女の笑顔を今度は、いつ見られるのか、そんなことを、とりとめもなく考えながら

苦しみと楽しみにさいなまれていた、その答えをやっと見つけたのだと思ったのに…。」

見上げると雪白の肌に水滴を含んだ水色の長いまつげが震えていた。

「こんな気持ちを他の誰にも抱いたことはなかったのに・・・それが・・・」

 

時の精霊みたいな天使が金色のベルを鳴らしている気がした。

頭の中が、真っ白&グルグル回る。

えーと、でもでも、親密度は50で…あ、そっか!思ってはいても

さけまくってたし、牽制しあってたしで親密にはしてなかったわ。

親密度は愛情度じゃない。

なんで、こんな簡単なこと誰も気が付かなかったのかしら?

気が付くと私は、なめらかで肌触りのいいリュミエール様の体を

しっかり抱きしめて叫んでいた。

「だ…だ…だいじょーぶです!ルヴァ様の言ったのは、たんなるボケですから〜!

オリヴィエ様がウソついて…えっ〜と、でもそれは…私が…私が…。」

そこまで言って、気が付いた…

それは、私がリュミエール様の想いを信じなかったから…

「ごめんなさい…」

罪悪感で、いっぱいで泣き出してしまった私の背中を

優しくあたたかな手が、抱きしめた。

想いがひとつになる。

その後は、言葉はいらないのだと知った。

 

 

「それで、どうなったのかしら?ちゃんと説明して下さらないこと。」

うむを言わせぬロザリアの口調は女王候補時代に戻っている。

「そーだよ。具体的に、その後、何をしたわけ。」

「いや〜レイチェル!そんなことを聞くなんて、はしたないわ〜。」

目を吊り上げたレイチェルとトマトより真っ赤なコレット。

私が想いが通じ合ったことを報告すると、3人とも悔しがり諦め最後には祝福してくれたのに

やたら、その後を気にする。

「まさか…」ゴクリとロザリアの喉が鳴る。

「そのまま…」レイチェルの怖い顔がせまる。

「いや〜!激しすぎる初体験ですわ〜!」コレット部屋中駆け回る。

私も恥ずかしすぎて話せといわれても困るけれど、親友だものね。口は堅いよね。

「あのね…お花畑に行って…」

顔が熱くて、自分がゆでだこ状態なのがわかる。

「て…手を…」

「て…手を…?」ゴクリと皆の喉が鳴る。

胸が壊れそうなくらい思い出しただけで心臓が高鳴ってくる。

「て…手を…握って、お話したの…もう幸せすぎて…」

胸がいっぱいになって自分でも涙目になっているのがわかった。

アゼンとした3人の顔がふにゃふにゃになっていく。

「それで…お花で作った指輪を頂いたの…ほら。」

なぜか床にへたり込んで石になってしまった3人に

宝石を全部ビニール袋につっこんで、お花の指輪だけにした宝石箱を開けて見せた。

こんなことをしても、お花の指輪は枯れてしまうのはわかっていたけれど

2人の想いは変わらないから、今だけ大切に見つめていようと思ったのだ。

しばらく、それに見入っていたら3人の石化が治った。

「陛下…キャラ、変わってるじゃん。」

「どうしたの?アンジェ?!大丈夫?あなた幸せすぎて、おかしくなっているのではなくて?!」

「陛下…可愛いいですわ〜ステキですわ〜♪」

言われて気が付いた。

「そ…そういえば…あんなに長い間おそばにいたのに、私…襲いかからなかったわ!」

あんなことや、こんなことを考えもしなかった。

自分でも驚いた。すごいわ…私まるで清純な乙女みたい…。

きっと、これが本当の愛の力なのね。

 

**** 水鳴琴の庭 ****