最強無敵のマジなレンアイ
by真珠16.毒には毒を?
のぞいていたオリヴィエ様は私と目が合うと気まずそうに目をそらして後ずさり始めた。
「オリヴィエ様・・・」
「あ・・・ごめ〜ん、どうなるのかな〜?なんて
つい覗いちゃったのよん。いや〜怒らないで〜!
アンジェリーク、あんた目が怖いよ〜」
赤くなるリュミエール様をガッチリ抱きしめてキープしながら私は握りこぶしをふるわせた。
「あたりまえです!なんで覗くんです
!!」でも渡りに舟だわ。
「責任をとってもらいます!」
私はリュミエール様にしばらく待っていてもらって
オリヴィエ様の耳を引っ張りながらルヴァ様の執務室に向かいながら
事の次第を語った。
「なんとか誤解をとかなくちゃ。このまま私に恋してると
思い込んでいたらリュミエール様がおかわいそうです。」
オリヴィエ様は天を仰いでしばらく考え込んでいた。
「それって本当に誤解なのかしらね〜?」
「だってルヴァ様が、あんなこと言うから!」
「ん〜、でも私にはリュミちゃん本気に見えたけど?」
私は自分に都合のいい話に気持ちが揺れまくったけど頭をプルプルふって振り払った。
「そう思い込んでいらっしゃるんですもの!だからです!
ルヴァ様から訂正して下さるようにオリヴィエ様も頼んで下さい!」
「ふ〜ん?」
オリヴィエ様は私の顔をマジマジ見つめて笑った。
「なんです?」
「本当にいかれてるのね。」
私の焦りを他所に落ち着いているオリヴィエ様の態度に思わず頬を膨らませていると
ルヴァ様の執務室の扉の前でネイルアートの指先がつついた。
「フグみたいな顔してるとルヴァが驚いて大混乱しちゃうわよ。
話をまとめたかったら落ち着いて話さなくちゃね。」
もっともなので、深呼吸して扉を叩いた。
「あ〜いらっしゃい〜おや〜陛下が来られるなんて〜
何ありましたか〜?」
何かありましたか?じゃないわよ!と言いたい気持ちを押しとどめて
オリヴィエ様を前に押し出す。
「はい〜ちょっと話があるのよん」
オリヴィエ様はニッと笑ってルヴァ様の肩をつかむとコソコソ耳打しだした。
うなずきながら話を聞いていたルヴァ様は最後に、なるほど〜わかりましたよ〜と
言うと執務室を出て行った。
「大丈夫なんですか?オリヴィエ様」
「まっかせなさ〜い。大丈夫よん。」
オリヴィエ様は自信満々だけどイマイチ信用出来ない。
「なんて言ったんです?」
「ロザリアや女王候補達が泣いているから、あんたの事だけじゃなくて
皆に恋してるってことにしてくれって言ったのよ。」
「はぁ?!」
私は目が点になった・・・オリヴィエ様もルヴァ様とあまり変わらないかも・・・
それじゃあリュミエール様大混乱じゃない
!!大笑いしているオリヴィエ様の首を思わず背後からしめあげた。
「きゃ〜なにするのよ〜毒は毒を持って、誤解は誤解を持って
解決する高度な作戦じゃないの〜!」
どこがだ・・・私は脱兎のように逃げ出したオリヴィエ様に
いつか修正してやると思いつつリュミエール様のもとに慌てて向かった。
が・・・どうやら遅かったようだ・・・
ルヴァ様の前でリュミエール様は蒼白で立ち尽くしていた。
息を切らせて駆けつけた私にリュミエール様は悲しそうに目を伏せられた。
「すいません・・・私は・・・私は、貴方だけに恋していたのではなく
ロザリア達にも・・・なんて不実なのでしょう・・・」
あぁ・・・また悲しませてしまった・・・慌てて言い訳しようとリュミエール様の側によると
ふわりと白鳥より優美な腕に囲まれた。
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水鳴琴の庭 ****