最強無敵のマジなレンアイ by真珠

11.淑女協定

ドキドキしながらリュミエール様の執務室のドアを叩くと

いつもの優しい声がかえってきた。

扉を開けると出迎えの為にイスから立ち上がってくださったリュミエール様の

美しい面に驚きの表情が表れる。

それは、そうだろう。女王候補達だけならともかく補佐官と女王まで一緒に来てるのだもの。

「どうかなさいましたか?」

不思議そうに首を傾げると水色の髪がきらめきながら白鳥より白く優美な首筋を流れていくのがみえた。

ボーッと見とれてる場合じゃないのに、みんな何も言えない。

心配そうに机を回って、こちらへやってくると

暖かく包み込むような深さと広さをたたえる海色の瞳が私達を見つめる。

心臓が壊れそうに高鳴って舌がしびれる。

汗が噴出して、回れ右して逃げ出したくなる足を必死に押し留める。

「あ…あの…その…わ…私達…ち…誓いを立てたいんです。

そ…それでリュミエール様に見届けていただきたくて。」

それだけ言うだけでも涙目になってしまう神聖で美しすぎる方は優美に頷いて、優しく微笑んでくださった。

4人ともホッとしてお互いの手を取った。

「私達は何があっても、結果がどうなろうと親友、そしてライバルとして永遠に助け合い競い合うことを誓います。」

何も知らないリュミエール様は嬉しそうに微笑まれた。

「あなた方は、とても仲が良いのですね。」

リュミエール様が微笑まれると天界の門が開かれて花の香気とともに

聖なる御使いが光とともに現れたよう。

膝がガクガクして、思わず跪いて懺悔したくなる。

愛していますと…こんな私が、そう想うのは宇宙で一番大きな罪だと思うから。

 

リュミエール様は私達をテラスに招いて、お茶を煎れて下さった。

またあのお茶が出てきたら、どうしようと汗がふきだす。

でも、例によって上手く言い出せない…。

「リュミエール様、陛下はペパーミントがよいそうです。」

ロザリアが助け舟を出してくれた。

ペパーミントならガムにだって入ってるし大丈夫だわ。

こっそり顔の前で手を合わせるとニッコリ笑い返してくれる。

お茶を持ってきてくださったリュミエール様が流れるような動作でお座りになられると

その優雅さ美しさに思わず4人ともため息がでる。

柔らかな日差しの中で輝きを帯びた姿は、不思議で美しい水色の髪に彩られ至高の神そのもの。

幸せなティータイムだった。

 

私達はリュミエール様の執務室を後にすると女王候補寮のレイチェルの部屋に集まった。

「では、今までに各人の集めたリュミール様のデータを交換いたしましょう。」

ロザリアが重々しく言うと、レイチェルがパソコンの前に座った。

「データはここに集めようよ。必要な時にいつでも見たり入れたり出来るから。」

茶色い髪のアンジェリークが立ち上がる。

「あの〜、たぶん私が持っている以上の情報ってないと思うのですけど…。」

ロザリアとレイチェルが顔を見合わせる。

「それもそうね。」

「アンジェ、データ入れてよ。」

彼女がデータを入れる画面を皆で食い入るように見る。

「ちょっと、身長・体重はわかるけど、なんで頭囲とか肩幅とかわかるの?」

レイチェルの疑問は、もっともだ。

「私邸に忍び込んで、お洋服を計らせていただいたんですわ♪。脚も長くていらして…うっとりですわ♪」

あぁ…本当!それにしても洋服を計ったって事はリュミエール様がお召しになったものにさわったのね…

う…うらやましい…シクシク。

「まあ、今度は私邸の見取り図ね。さすがは忍びね。

私も間取りは知っていたけど家具や置物まではわからないから興味深いわ。」

「ロザリア…なんで間取りなんて知ってるの?」

「あら、聖地の記録書に載っててよ。気づかないなんて迂闊ね、アンジェリーク。」

「ちなみに警報装置は日によって移動、監視カメラは空中移動できて広域センサー付き

対象を確認すると警報がなるし録画装置があって出し抜くにはかなり手強いですわ。」

3人の痛い視線が私に刺さる。

「陛下がムチャするから…。」

「ただでさえ、あそこの執事とんでもなく強いのですわ。お気をつけ下さいです。

私でも5回のうち1回くらいしか出し抜けないのですわ。」

あの執事の子の事は前女王から申し送りがあったから知ってるけど…あの子を5回のうち1回は出し抜くなんて…

改めて茶色い髪のアンジェリークをコワイ奴と思う…。

データを入れ終わるのには、しばらくかかりそうなので私とロザリアは執務に戻ることにした。

 

**** 水鳴琴の庭 ****