最強無敵のマジなレンアイ
by真珠8.4分の1=?
相思相愛の喜びにルンルン気分でリュミエール様の執務室に向かうと
できるだけ可愛らしく扉をノックした。
柔らかな衣擦れの音とともに扉が開くと甘い花の香りとともに…
あぁ…いつ見ても言葉に詰まる美しい方…。
白百合のように清浄で…
「陛下?」あぁ…私を呼ぶ御声は熾天使のよう…
「陛下??」私を愛して下さるなんて夢のよう…
「陛下???」私も、たとえ生まれ変わろうとも魂のあるかぎり愛し続けますわ。
「アンジェリーク!」そう…陛下なんて他人行儀じゃなくて、アンジェリークってお呼び下さい…
リュミエール様…。
そっと手を握ると、その手は引きつった顔のロザリアにつながっていた。
まわりにはレイチェルと、先ほどわかれたばかりのアンジェリーク(いつの間に先回りしたんだろう?)もいる。
「なにしてるの?」私の問いは愚問だが口から出さないでいられない。
「お茶ですわ、陛下。」ロザリアが余所行きの声で答える。
くっ、リュミエール様の前だからって…。
「そっ…そのようね。」なんで私のリュミエール様とお茶してんのよ、ずうずうしいわね。
「陛下にも、おいれします。なにがよろしいですか?。」
あぁ…リュミエール様、嬉しそうに微笑まれて…私とけてしまいそう…。
「あの…あの…カプチーノ…モガモガ」茶色の髪のアンジェリークが私の口を押さえて代わりにオーダーする。
「カモミールだそうです。陛下、お疲れなのですわ。」
そっか、カプチーノは天敵オスカーの好物だっけ、ナイスフォローだわ。アンジェリーク♪
「どうぞ、お座りください陛下。すぐに、おいれしますから。」
リュミエール様が心配そうに私の顔をのぞきこむ。あぁ、役得♪
軽く目を伏せた時に長い睫が瞳に影を落とすのまでハッキリ見ちゃったぁ。
リュミエール様が別室へ行くのを確認してバトルが始まる。
「ちょっとぉ、私のリュミエール様とお茶とは良い度胸ね!」
「ホーホッホッホッ。相変わらずアンジェたらオバカサンね。いつリュミエール様が貴方のものになったというの?。」
私は勝ち誇ってイスの上に立ち上がった。
「私は告白したのよ。リュミエール様は、それを喜んでくださったわ!」
ショックを受けるだろうと思ったけど、優しくしてる場合じゃない。
「キャハハハハッ!陛下ったら、おっかしーの!。」
「ホーホッホッホッ、これを御覧なさい。」
2人は机の上にメルが作ってエルンストに渡している資料のコピーを出した。
う…うそっ!私とリュミエール様の親密度は50しかなかった…。
ちなみにロザリアもレイチェルも茶色い髪のアンジェリークも50だった。
なんで…?告白したのに…死ぬ思いで告白したのに…喜んでくださったのに…
真っ白になってしまった私の肩をロザリアが抱く、さっきと違う優しい眼をしている。
「アンジェったら…本当にオバカさん…。あなた、リュミエール様に愛していますって言った?。」
「?」
茶色の髪のアンジェリークが、いきなり小刀を腹に当てた。
レイチェルが慌ててとめる。
「陛下、止めてよ!この子、死んじゃうよ!」
「アンジェリーク、教えて。どういうこと?。」
茶色の髪のアンジェリークは私の足元に駆け寄ると片膝をついて、ふかぶかと頭を下げた。
真っ青になって、大きな瞳からは涙がポロポロこぼれている。
「も…申し訳ありません。私の…私の落ち度です。まさか…」
「まさか…?」
「あのシュチエーションで好きですって言って、LIKEの意味に取るほどリュミエール様がボケ…いいえ!
おっとりしてらっしゃるなんて!」
理由はわかった…。そっか…確かに今まで嫌われてると思ってたところに好きだって言われたら…
………嬉しいわよね…でも…でも…LIKEだなんて〜…ふつう思わないわよぉ…たぶん…きっと。
「さすがは、リュミエール様ね。なんて、おっとりしてらっしゃるの。あぁ、うっとり。」
他人事だと思って…と3人を睨みつけるけど、そんなことをしてもどうにもならない。
リュミエール様が戻ってくる気配に慌てて皆な定位置につく。
扉が開いてお茶をもったリュミエール様がやってきた。
「どうぞ、陛下。」
コトリと前に置かれて私は固まった。
何?この匂い?自慢じゃないけど私はコーヒー党、ハーブティーなんて一回も飲んだことがない。
リュミエール様がお好きなら、きっとおいしいものだろうと思ってたのに…
「く…くっさ…」途中まで呟いた途端、体の自由がきかなくなった。
背後に茶色い髪のアンジェリークが羽織を頭から被って張り付く。
「おいしいですわ。疲れが消えていくようです。」
私は彼女に両方の頬を引っ張られ笑顔を作らされながら言わされていた。
そしてゲロマズのお茶が私の口に無理やり流し込まれる。
いや〜飲みたくない!心の中で思っているのに体は勝手に動いていく。
「陛下が喜んでくださって、私も嬉しいです。」
あぁ…リュミエール様が喜んでくださってる。もう不味さなんて感じなかった。
ただ後向きにドッターンと倒れて、意識は空の彼方へ飛んでいた。
**** 水鳴琴の庭 ****