最強無敵のマジなレンアイ by真珠

7.渚の告白 その2

ギクシャクと動きがヘンだし、この暑いところで羽織。

しかも後ろが大きく膨らんだカッコは、どうみても異様だ。

こんな姿でリュミエール様の前にでるのなんて死んでもイヤだったけど

私には選択の余地がなかった。

 

「あっ!リュミエール様発見ですわ♪さあ、恋はPUSH&PUSHですわ〜♪

いきましてよっ♪」

いかないでぇ〜と言う私の心の叫びは下り坂のジェットコースターのように無視された。

「リュミエール様!」

ふりむいたリュミエール様の胸に・・・い・・・いきなり飛び込むかぁ〜?!ちょっと待ってぇ〜。

心臓がバクバクいって血液が死にそうな勢いで駆け巡り脳溢血で死ぬんじゃないかって

消えそうな意識の中で考えた。

しかし、状況は無慈悲に進行していく。

「陛下?」心配そうにのぞきこむリュミエール様の瞳がぁ〜近い!ちかすぎるぅううう!

頭の中がジタバタと逃げようとするのに悪夢の中のように身体は動かない。

それどころか、後ろから後頭部をつかまれリュミエール様の胸に頬をすりよせて・・・。

このカッコの上に3本目の手が丸見えなのに疑問に思わないご様子のリュミエール様に

口が勝手なことをしゃべる。

「いままで、素直じゃなくてごめんなさい!本当は私リュミエール様のことが好きなんです。」

で・・・でも、でも、見上げると嬉しそうなリュミエール様のお顔・・・こ・・・これって・・・OK?!

やったー!隠密部隊やるじゃない♪あぁ・・・予算1000倍にしてあげるわ♪

リュミエール様は優しく微笑んでくださった。

「嬉しいです、陛下。私は陛下に御不興をかっているものとばかり思い胸を痛めておりましたから。」

ズッキーンと胸が痛んだ。

自分の行為がリュミエール様を傷つけていたことが心臓が引き裂かれるより痛たかった。

絶対・・・もう、そんなことはしない。もう、絶対に。

「ご・・・ごめんなさい。私・・・リュミエール様の前では不器用で・・・思ってもいない事ばかりしてしまうし

思ってもいない事ばかり言ってしまって・・・。」

何時の間にか金縛りは解けて自分の言葉で話していた。チラリと後ろを見ると黄色いリボンが

砂の上を移動していくのが見えて心の中でありがとうと呟かずにいられなかった。

 

その後、私とリュミエール様は海辺でスケッチをしたり波とたわむれて遊んだ。

だが、オスカー様が砂から復活して通報したらしく聖地からの迎えは思ったより早く来た。

厳めしい顔のジュリアス様から山のようなお小言をくらった。

でも、やっぱりオリヴィエ様は心配してくれてたみたい、リュミエール様が私に騙されてた事は

伝えておいてくれてたからリュミエール様が咎められる事はなかった。

他の皆様との親密度は占ってもらうまでもなくヒドイものとなっただろうけど

今の私には、もうどうでもいいことだった・・・

私は真面目な女王としてリュミエール様だけ愛していければ良いのだから。

 

聖地に戻ると一番に黄色いリボンを探した。

だって、どうしても御礼が言いたいもの。

植え込みの向こうに黄色いリボンを見つけて声をかける。

「アンジェリーク?」

ズザッ、いきなり背後をとられた!。

「あぁ・・・女王陛下♪すみません、ついクセで変わり身の術を♪」

小刀を手に可愛らしくはにかむ少女は、なんとなくデンジャラスだった。

でも感謝の気持ちは変わらない。

「ありがとう、アナタのお陰で気持ちが伝えられたわ。」

「いいんです♪私は影に生まれ影に生きる宿命・・・陛下のお役に立てれば・・・」

胸を突かれるような寂しげな微笑にソッと肩を抱くと何かが大量に足元に零れ落ちた。

「ア・・・アンジェリーク・・・これって・・・。」

それは、あの海辺での私とリュミエール様の隠し撮り写真だった。

「えへっ♪見つかっちゃった♪陛下にも焼き増して差上げますわ♪よく撮れてますでしょう♪」

た・・・確かに・・・でも中央に映っているのはリュミエール様だけで

私はピンボケか無残に断ち切れた顔ばかりだった・・・。

でも、まあ・・・リュミエール様の貴重な写真だし、私は彼女の手を握って思いっきり頼んでいた。

「絶対よ!1ショット100枚づつ。他の人には売らないって約束よ。」

「陛下、お金なんていりません。100枚でも1000枚でも御望みのままにお届けしますわ。」

な・・・なんて良い子なの・・・ニコニコと微笑む彼女に感涙する私は

この時まだ大きな過ちに気づいていなかった。


内気ちゃんの活躍は、これから・・・(クス)

 

**** 水鳴琴の庭 ****