最強無敵のマジなレンアイ
by真珠6.渚の告白
その1静かな水平線を見つめる瞳は海の色、どんな水より美しく神秘的な水色の髪を・・・
「陛下?何をメモしてらっしゃるのですか?」
あまりの美しさに思わずメモをしだした私にリュミエール様は不思議そうに尋ねられた。
あわてて飛びのくと悲しそうに長い睫毛がふせられる。
「ち・・・ちがうんですっ!リュミエール様が美しすぎるからいけないんです。あぁ・・・そうじゃなくって
いけなくないんですけど罪な方・・・じゃなくてぇ。あぁ・・・もうイヤっ!」
私は収集がつかなくなり猛ダッシュで、その場から逃げだした。
マズイなぁと思いながら物陰からコッソリ覗くと、やっぱり悲しそうにしてらっしゃる。
あぁ・・・もう、私なんて首を括っちゃおうかな・・・真っ暗にな気分でいると
後ろ頭に誰かのヒールの先が刺さった。
「オリヴィエさま〜♪」
「アンタ・・・バカ?なにやってんのよ?告白するんじゃなかったの?
あれじゃあ、いぢめと変わらないじゃない!」
だってぇ、頭が真っ白になっちゃうんだもん。でも、そうだわ。
ここには、告白の為に来たのに今までと同じ事してちゃダメだわ!
「わ・・・私!頑張りますっ!!」
「どーゆーふうに?」
オリヴィエ様の冷たい視線がビシビシささる。
「えーとぉ、お茶しないって言ってスカートをピラッとめくってみせるとか・・・」
「オスカーのナンパじゃないのよ?」
「オスカー様がスカートめくるんですか?そこまでHでしたっけ?」
「言ってくれるな、極楽鳥!」
甘く低い声に振り返ると不機嫌極まりない様子でオスカー様ご本人が立っていた。
「オスカーさまぁん」人差し指でツッと厚い胸板をなで上げると
いきなり機嫌が良くなる。
「どうしました、陛下?心配しましたよ、この熱い胸の鼓動が貴方を切なく求めて・・・」
「それよ!」
「なんだ、極楽鳥?!。いいとこなのに水をさすなっ!」
オリヴィエ様はオスカー様をどけると私に言った。
「リュミエールだと思わないで、この唐変木じゃ難だからルヴァか何かと思って口説いてみたら?」
「えっ?でも、リュミエール様に数式の話は、ちょっと・・・?」
オスカー様がオリヴィエ様をどける。
「そんなに俺に口説かれたいのか、陛下・・・いや、アンジェリーク。俺はいつでも・・・」
ゴボッと鈍い音がしてオスカー様が目の前から吹っ飛んだ。
「えっ?アンジェリーク?」茶色い髪に黄色いリボンをつけた少女が赤くはにかんだ顔で
正拳突きの構えをとく。
「いつここへ?」間抜けな問いを発する私に大きな瞳をうるませ近づいてくると
いきなり抱き付いてきた。
「おねぇさまぁ・・・あっ・・・いやだ。私ったら『おねぇさま』は私の心の中だけの呼び方なのにぃ。」
「わるいけど私そーゆーのお断りよ。」冷たく言うと彼女は慌ててプルプルと首をふった。
「かまいません!私が勝手に陛下に憧れてるだけなんですから・・・」
言いながら語尾が震えて消え入るように小さくなり、ポロポロと涙がこぼれる。
ちょっと可哀想かな・・・でも・・・。
「あ・・・あのねぇ。私達リュミエール様をはさんでライバルなのよ。そーゆー、ややっこしい事やめてよ。」
大きな瞳がこぼれおちそうに見開かれる。
「そ・・・そんな・・・私、リュミエール様は大好きです!誰にも負けないくらい愛しているつもりです。
でも、陛下とライバルなんて・・・考えた事ありません・・・。」
ウットリと私を見上げて来る目が何故かコワイ・・・。
「だって、私より陛下の方がお似合いですもの・・・。やっぱり、美しい方には美しい女性が良いですわ。」
頬を赤らめて、そう断言する少女をオリヴィエ様は見ないふりをしながら
半ば砂に埋もれたオスカー様にスコップでさらに砂をかけ
埋めると上からペシペシたたいて去って行こうとする。
「オ・・・オリヴィエさま〜」言外に何とかして〜と少女を指差すが反応が冷たい。
「おしあわせに〜♪キャハハハ♪じゃあね〜♪」
速攻で逃げてしまった。
「陛下?うふ♪2人で海を見られるなんてアンジェし・あ・わ・せ♪」
「何いってんのよ!私は、みんなから抜け駆けしてリュミエール様に告白しに来たのよ!
アナタと海なんて見てらんないの!」
両拳を口元にあててビックリした彼女を置いてズサズサと歩きだすと
いきなり足が動かなくなった。
振り向くと少女は私ソックリの人形を手にして足を縄みたいなもので縛っている。
「ふふふ・・・影縛りの術ですわ。陛下ってば、みずくさいですわ。そういうことでしたら私が協力いたしますのに。
えぇ・・・幼い頃から王立派遣軍隠密部隊隊長の父の教えを受けておりますからバッチリですわ。」
そ・・・そんな怪しげな部隊があったなんて・・・知らなかったわ。面倒だから組織図とか見てないし・・・
今度から真面目に執務しようと心から後悔した。
そして・・・そんなところ潰してやると。
「と・・・とりあえず、術を解いてぇ〜。」
「ダメです!告白ならGOGOですわ。私に御任せ下さい。」
少女はニッコリと微笑むと変わった形の上着を取り出すと私の背中にくっついた。
「必殺!2人羽織ですわ!告白は御任せ下さい♪」
そんな・・・と言おうとしたけど、すでに金縛り状態で声も出なくなっていた。
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水鳴琴の庭 ****