最強無敵のマジなレンアイ
by真珠5.恋する犯罪者
オリヴィエはヨレヨレになりながらもアンジェリークの潜伏先にたどり着いた。
みんなで捜索する事になり一番にオリヴィエがここにたどり着いたのは
それだけオリヴィエが必死だったせいもあるだろう。
なにしろ、自分の責任と良心の呵責と背負うものが多いオリヴィエなのだ。
アンジェリークの潜伏先はリゾート惑星の超高級ホテルのVIPルームなのだが、
というより邸宅といった風情の離れの一軒家だった。
オリヴィエが現れると鍋とオタマで武装したアンジェリークが
オリヴィエの弱い涙目で出迎えた。
「オリヴィエさまーっ。来て下さったんですね♪。」
しかし今回はオリヴィエも負けなかった。
「あんたねぇ!!どーゆーつもり!聖地は大騒ぎよ。」
「だってぇ、オリヴィエ様が・・・。」
「だってもさってもないわ!帰るのよ、早く!!リュミエールは?。」
室内を見渡しても人影はない。
「まさか、あんたスマキで戸棚に押し込んであるの?。」
アンジェリークは大きな目をさらに見開いた。
「まさかぁ!リュミエール様なら・・・キャッ♪。海で絵を描いていらっしゃいます。」
何を照れてるんだかと呆れるオリヴィエにアンジェリークはノロケともつかない説明をはじめた。
「夜中だったから、こっそりリュミエール様の寝室に忍び込んだんです。
うふふふふ、そしたら・・・(うっとり=妄想モード)あぁ、キレイでした♪
月の光が射しこんでいて白いシーツの上に広がったリュミエール様の髪をてらしていて
閉じた瞳のマツゲの長さったら思わず定規を持ってくれば良かったと後悔したくらい
普段は恥ずかしくて見る事が出来ないお顔を思う存分みつめられて死ぬほど幸せでした。
それに夜着の衿からのびる首筋のラインが(はぁあ♪=ため息)白くうつくしくて
水色の輝きをまとった熾天使のような寝姿で起こすのが惜しくて惜しくてしかたなかったです。」
「そういう風に言って皆をくどいてるの?アンタ。」
「まさかぁ!もう皆様だったらスミレ色の瞳がアメジストより高貴な輝きを・・・とか
いっくらでも言えちゃうけどリュミエール様は例えようにも私のヒンコンな言葉じゃ出来なくて
あぁ、言葉にできません。」ポロポロと泣き出すアンジェは、それでも止まらない。
「そっとリュミエール様に声をかけたら・・・(絶句)・・・
月の光を弾く美しい水色のマツゲに縁取られた海色の瞳が・・・ああ・・・」
後ろに倒れかけたので手を伸ばしたが一瞬遅く
アンジェリークは机の角に頭をぶつけて血が吹き出した。
オリヴィエは青ざめたがリュミエールのことを語るアンジェリークに痛みは届かないらしかった。
「世界が海色に染まるようでした。」
語るアンジェリークは血に染まっていた。その姿はオリヴィエさえひけた。
「私に気づかれると、とても驚かれて・・・
『陛下・・・よだれが・・・』と優しく拭いて下さったのです(はーと)」
「そ・・・そりゃ、驚いただろうねぇ。」
夜中に目を覚まして、そんなのがいたらイヤだし恐いし、そう思ってオリヴィエは身震いした。
そしてリュミエールのそんな相手にも優しいのと動じない強さに驚嘆した。
「私はリュミエール様の白く細い手を取って、そのままベットに・・・」
「?!」
「乗せてかついで逃げてきましたぁ♪館の執事にナイフ投げられそうになったけど、
私だと気がついたら目を点にして見送ってくれたしラッキーって思っちゃった。」
倒れこんだオリヴィエは脱力して返事も出来なかった。館の執事は常識人なのだ。
今はちょっと錯乱状態で、それで事の真相がなかなか分からなかったのだ。
それはそうだろう、主をベッドごとかかえて逃げる女王なんて見てしまった日には。
「リュミエール様は優しくて重くありませんか?と心配して下さいました。
あんなにどうしたら良いかわからなくってヒドイ事ばかりしてしまった私なのに。
そのお言葉をいただいたらゼンゼン重くなんてなかったですわ。
まるで羽根のようでした♪愛の力って偉大ですね♪」
そんな愛の力なんて自分だったら絶対イラナイ!!オリヴィエは心の中で絶叫していた。
「それで、ここへ来て私達2人は特別休暇なんですって言ったら、あっさり信じて下さいましたわ。
女王がウソをつくわけないとコロッと騙されるなんて・・・イヤン♪カッワイイ♪
・・・ウソは胸が痛むけど、どうしても海を見せてさしあげたかったの・・・。」
うるむ瞳と思いつめた表情で両手を組みあわせ祈るように遠くを見るアンジェリークだったが
オリヴィエの反応はつめたかった。
「で、どうするの?アンタって本当にリュミエールのこととなるとイカレてるね。
守護聖を誘拐して逃げた女王なんて前代未聞よ。
まぁ、女王が法みたいなところがあるからジュリアスの小言をくらうくらいだろうけど。」
オリヴィエは封建的な制度に反発を覚えつつ、今回に限りありがたく思った。
「もちろん潔くあやまります。」
「とーぜんね。それでリュミエールには?」
「こ・・・告白します!そのためにここへ来たんだもん。」
真っ赤っかな顔で力む姿はプレイガールどころか
初々しい中学生でオリヴィエは吹き出さずにいられなかった。
「頑張ってね。リュミちゃん競争率たかいわよ。」
脳裏に聖地で待つ3人の少女の姿が浮かぶ。
「ま・・・まけないもん。」涙目で宣言するアンジェリークに女王の権威はない。
ただの女の子として同レベルのバトルが始まろうとしていた。
=オリヴィエ苦悩編 終=
これから、ようやく本編ですぅ(^_^;)やっとリュミ様が出てきまーす(#^.^#;)
アンジェ苦悩編かも、茶髪アンジェの意外な一面も売りかもね♪
**** 水鳴琴の庭 ****