最強無敵のマジなレンアイ
by真珠4.最強無敵のスキャンダル
青ざめた顔でロザリアが謁見室に入って来ると、いっせいに質問が飛んだ。
それを黙らせたのはジュリアスだった。こういう事態に皆をまとめる力はさすがとしかいえない。
が、やっぱり聞く事は皆と同じだった。
「どうなのだ。行方は知れたのか?!」
その言葉にロザリアが首をふる。
ガッカリしたムードに包まれた中でレイチェルの爆弾発言が響いた。
「本当に誘拐なの?ヘンなかんじ。陛下の茶番じゃないのぉ?。」
信じられない言葉を聞かされたオリヴィエ以外の面々が抗議の声を上げようとするよりはやく
ロザリアのリンとした声が響きわたたった。
「茶番なら、どれほど良いか!でも、これは事実なのです。」
ロザリアの瞳には親友を案じているのか薄らと涙がうかんでいる。
それでも毅然として補佐官としての務めを果たそうと気丈にこらえている様は
健気を通り越して悲壮でさえある。
オリヴィエはロザリアが試験中あそびまくるアンジェリークとは対照的に
真面目に驚くほど的確に大陸の人々に尽くし発展させていたのを知っている。
それなのに、親密度の高いアンジェリークに肩入れし頼まれてもいない力を送り
そんなこと望んでもいなかったのに女王にしてしまった自分達が恥ずかしいと思っている。
ましてや、そんな風にして女王になったアンジェリークを親友として支え
いま安否を気にしている様は、アンジェリークをそそのかしてしまった
オリヴィエに耐え難いほど良心の呵責をあたえる。
真実を話すべきだ。オリヴィエが決心した時ロザリアの体がフラリと揺れ床に崩れた。
「本当に茶番なら・・・どんなに良いか・・・。」
ダーン。激しく床に拳を叩き付けるとロザリアは絶叫した。
「アンジェのバカーッ!!リュミエール様を誘拐するなんてー!なに考えてるのぉー!!」
一挙に世界が氷点下に蹴落とされた。
それはオリヴィエにとっても床に叩き付けられたガラスも同然の衝撃だった。
「なにそれぇ?!さっきと話がちがうジャン!」
「どういうことなんですか?ロザリア様!」
問い詰めるのは女王候補達だけだった。他の面々は完全に壊れて白くなっている。
リュミエールの身を案じるロザリアと女王候補達をしりめに
オリヴィエも遠くなる意識の中でリュミエールが聖地にいなければと言う自分の言葉を
女王アンジェリークが、どう解釈したかを本当に理解し床に倒れこんでしまった。
この日、聖地は歴史はじまって以来の醜聞に揺れた。
**** 水鳴琴の庭 ****