最強無敵のマジなレンアイ
by真珠「キャハハハハ。」オリヴィエの高笑いが部屋に響き渡る。
「アンタがそんな事を言うとは思わなかったわ。
守備範囲外だったリュミちゃんも取られると思うと惜しくなったってわけ?。
今まで大勢の心を手玉にとって遊んでたクセに
あの子がリュミちゃんに恋したからって慌てるなんて信じられないわー。」
オリヴィエは笑い転げる。
「確かに、あのいかにもリュミちゃん好みのおとなしそうな子が
牡牛の守護を受けOの血を持つって聞いた時のアンタの慌てた顔は見物だったけど。
ほんとにマジィ?かえってキライな相手かと思ってたのにさあ。
こんなことをジュリアスにでも知られてみなよ。
禁断の恋だよ。許さんってぶちきれるよー、きっと。
いつもみたいに遊びにしときなよ。」
「オリヴィエ様…ヒドイ。リュミエール様をさけてたのは本気だから嫌われるのが恐くて…
震えが止まらないほど恐くて…」
オリヴィエは真っ赤な目に涙をいっぱい溜めたアンジェリークに少し言いすぎた事に気づいた。
「ゴメン。ゴメン。だってアンタが女王になったのも私達を
うまく手玉に取ってくれちゃったからじゃない?。
少しくらいイジワル言われてもしかたないでしょ。」
シューンとしてしまった女王はビショヌレの小猫のようで、やっぱり可愛い。
「まぁ、アンタ相手によって意見をコロコロ変えたりゴマすったり感心出来ないとこもあったけど
本当なら恋愛関係になっちゃえばキープしやすくて試験がラクになるのに
遊び相手程度で絶対に恋愛関係になるまで親密度を上げたりしなかったし。
親友のロザリアもライバル。
リュミちゃんと仲が良いっていってもルヴァとクラヴィスは、こういう相談には役に立たないもんねぇ。
私を選んでくれた目の高さに敬意を表して協力してア・ゲ・ル。
それに私は女王が恋しちゃイケナイなんて今時ナンセンスだと思うからね。
このツマンナイ常識を打ち破ってやりたいじゃん。」
「オリヴィエさまー。」
ギュと抱き付いてくる女王はオリヴィエにとって、まだまだお子様の妹のようなものだった。
「まず狙いは日が迫っているバレンタインデーだね。
ジュリアスとかルヴァ。リュミちゃんも毎年この日に、
なんでチョコがコンテナ何百個分も届くか知らないみたいだけど
女の子が自分をアピールするには絶好のチャンスだからね。
とりあえずルヴァ経由でリュミちゃんにバレンタインデーの意味を吹き込むとして
問題はプレゼントね。」
キレイな眉をよせて考え込んだオリヴィエにアンジェリークがおずおずと口を開く。
「あ…の…。」
「ん?なに?なんか良いものあるの?。」
アンジェリークは両方の頬に、その赤い色を隠すように手をあててポツリと言った。
「わ・た・し。」
オリヴィエは飲んでたお茶を思いっきり吹き出すと激しくむせた。
「な…なにをダッサーイこと考えてるんだろうね、この子はっ!」
オリヴィエは痛むこめかみをもみほぐしながら考えた、
女王の誕生日にリュミエールをスマキにしてプレゼントした方が話がはやいんじゃないだろうかと。
そんな話をしたら本当にねだられそうでオリヴィエはグッとこらえて諭した。
「そんなことしたって嬉しいのはアンタだけでしょ。
リュミちゃんは何が何だかわからなくてパニクるだけよ。
プレゼントは貰った人が喜ぶものでなきゃ。」
「私がリュミエール様に貰って頂けたら、お掃除だってお洗濯だってお料理も、何でもするのに…。」
悲しそうに呟くアンジェリークに、オリヴィエは心の中で自分の邪な想像を涙ながらに詫びた。
**** 水鳴琴の庭 ****