最強無敵のマジなレンアイ by真珠

20.最強無敵の結末(後編)

ルヴァが知的好奇心に目を輝かせながらアンジェリークのまわりを

そわそわと歩き回る。

「あ〜、海洋惑星では自然なこととはいえ私達から見たら不思議ですからね〜

知りたいですね〜なんで、そうなるんでしょうね〜。」

キッとアンジェリークはルヴァを睨んだ。

「こっちが聞きたいわ!まだ何にもしていないのよ!こんなの酷いわ〜!」

だが泣き崩れるアンジェリークに同情は向けられない。

「うんうん、でも本来はお互いが子供が授かりたいと確認しあってからだそうですからね〜

調べてみたら陛下の抑圧された想いが原因らしいですよ〜スゴイ力ですね〜。」

「つまり、お互いが確認しあう前にあんたの欲望が強すぎて出来ちゃったのね。

よかったじゃない、アンジェ。あなたほどHな娘いないから他の誰が、

いくら勝手にリュミエール様に熱を上げても子供が出来たりしないってわかって。」

アンジェは握り拳を震わせた。

「あ〜大丈夫ですって、抑圧された力が原因だってリュミエールと想いが通じ合うまでは

出来なかったことから推測しても、リュミエールの想いが必須なのは確かですし

海洋惑星の人間は生涯一人しか愛さないそうですからね。」

アンジェリークの頭の中を” 生涯一人しか愛さない”のフレーズだけがエコーした。

だが瞳がキラキラしだして頭の中に雲が詰まった状態アンジェの耳をロザリアがひっぱる。

「痛い!痛いじゃないの〜何するのよ〜!」

「ほほほほ!妄想にひたっている間はないのよ、陛下!

今日は勝手にコレットが決めてしまった結婚式の日なの!

あなた頭の中が崩壊していたから記憶がないだろうけど、ここ1ヶ月ほど仕事をこなして

ちゃんと生活していたのよ。もちろんリュミエール様ともデートを重ねてたし。

というわけで、あと一時間で式が始まるの!」

愕然とするアンジェリーク。

「ちょっと待ってよ!!私、プロポーズも記憶にないのよ!それなのに、いきなり結婚式なの?!

一生に一度の大切なことなのよ!!ドレスだって選びたいし、指輪とかブーケとか!」

「あ〜オリヴィエがあなたを連れまわしながら嬉々として用意していましたから

心配はいらないと思いますよ〜。」

滝のように涙を流しながらアンジェリークはルヴァを部屋から押し出した。

「ひどいわ…私が壊れているのをいいことにオリヴィエ様に遊ばれるままにしていたのね。」

ロザリアが憤慨した様子でアンジェリークを睨む。

「意識が戻るように何度も色々してたのよ!それなのに殴るまで戻らなかったのは

あなたじゃないの!どれだけ心配したと思ってるの?!」

「ごめん…だって…」

アンジェの髪をロザリアはくしゃくしゃと撫でた。

「わかってるわ…一生に一度の女の子の夢ですものね…でも式はあくまでただの通過点

その後からの生活それが本当の幸せ…誰より幸せになってね…

ううん、相手はリュミエール様ですもの幸せにならないわけがないわね。」

潤んだ瞳のロザリアの手を握るとアンジェリークの目から光る星のような涙が流れた。

「ありがとうロザリア…そうね大事なのは結婚してからですものね…つまらないことに

こだわっている場合じゃないわね。」

ロザリアは立ち上がると扉を開けて去りぎわにアンジェリークをふりかえる。

「早く着替えて式場に来るのよ。新郎を御待たせするものではなくてよ。」

ロザリアが去ってから、アンジェリークは気が付いた。

普通は衣装を着るのとかお化粧とか手伝ってくれるものなんじゃないかしら?

確か昔となりのお姉さんが結婚した時は、そうだった。

だが部屋の中には衣装箱がひとつあるっきりで誰もいない。

とりあえずガウンで外には出られないので着替えようと箱を開けた。

一枚の紙と真っ白な衣装が出てきた。

”あんたのためにピッタリの衣装を選んであげたよん。

みんなに心配や迷惑をかけたぶんは、これで許してア・ゲ・ル”

明らかにオリヴィエの手紙だった。不吉なものを感じて衣装を広げたとたん

アンジェリークは喉の奥で乙女らしからぬ呻き声をあげて、それを取り落とした。

 

厳かで清廉な式場に模様替えされた星の間で一同が集まっていた。

そこに凄まじい音と共に扉を開けて飛び込んできたアンジェリークは背中に赤ん坊を背負い

金色の髪をアップにして白いリボンでくくり白いタキシードを着ていた。

「陛下!御待たせした上に何てはしたない!」

ロザリアや一同が顰蹙の目で見る。

「なに言ってんのよ!落ち着いてるところを見ると皆この衣装のこと知ってたのね?!

ヒドイわ〜!!」」

パニック状態のアンジェリークのそばにやって来るとオリヴィエは、にや〜と笑って

前を指さした。その指先を目でたどったアンジェリークは表情を変えた。

「許す…。いや、よくやった…誉めてとらすぞ、オリヴィエ。」

うってかわった女王の威厳に満ちた声にオリヴィエは軽く会釈して頭を下げる。

その先には星の間の降るような美しい輝きを背にリュミエールが立っていた。

ひたすら白に近い薄水色のベールには、ところどころ水晶の小片が編みこまれ足元まで流れ、

後に裾を長く流した白く飾りのない柔らかなドレープのローブは肩口を大きく開けて

精緻な輝きのチョーカーのはまる白鳥より優美な首筋をみせつける。

そして白い小花と真珠を編みこんだ水色の髪は流れるような優雅さで緩く結われていた。

なにをどう言いくるめたのか、本人は気が付いていないが、その姿は花嫁さんだった。

アンジェリークが現れたのに気が付くと、リュミエールはふんわりと柔らかく微笑んだ。

アンジェリークはリュミエールに近づくと皆を振り返えって微笑んだ。

「外界の時間を止めたから私たちが帰るまで、みんな好きに遊んでてね。」

理解できない言葉に皆が固まった瞬間、アンジェリークはリュミエールを抱き上げると

外へ飛び出し護衛兵を蹴り落としてエアカーに飛び乗った。

エアカーが聖地のバリアを突き抜けて消えてから、しばらくたって事の次第を把握した皆が

硬直から溶けた時はすでに後の祭りだった。

「アンジェ!式は、まだなのよ〜!早まってはダメ〜!」

ロザリアが叫んでも届くわけがない。

「新婚旅行の方が先になっちゃうなんて、さすが陛下だね。」

呆れ顔のマルセルにゼフェルが意味ありげな笑いを浮かべる。

「アイツ無茶しやがるぜ!帰ってくるときは、4人だったりして…?」

何も考えてないランディが、サラリと恐ろしいこと言い放つ。

「あははは!もっと多かったりもするかもしれないぞ!」

「陛下…元の情熱的なレディに戻っちまったってわけか…」

感慨深げなオスカーにオリヴィエは肩をすくめる。

「まぁ…清純な陛下なんて不気味なだけだしいいんじゃない?」

ルヴァが真剣な顔でうなづく。

「あ〜無理はいけませんからね〜体に良くないでしょうし

ひいては宇宙にもよくないかもしれませんしね〜うんうん。」

「式が…式は、どうなるのだ!女王たるものが醜聞がすぎるのではないか!」

怒るジュリアスに、無表情ながら憐憫の色を見せるクラヴィス。

「それより、リュミエールがどうなるか気の毒ではないのか?」

だが、コレットは明るく笑う。

「大丈夫です〜赤ちゃんお連れでしたです〜その世話だけで憔悴して帰ってこられますです〜。」

ひどく確信に満ちた希望的意見だったが

「そうだといいけど、それもなんかリュミエール様がお気の毒じゃん。」

レイチェルの言葉に一同は大きく頷いて空の彼方を見上げた。

 

END

ながながとお付き合いどうもありがとうございます〜<(__)>

このなが〜くしょうもない話にお付き合いどうもありがとうございます〜

深く感謝いたします〜♪この後、リュミエール様がどうなったかは

それは貴女の心の中で…(*^-^*)

 

**** 水鳴琴の庭 ****