水の館の執事〜ないしょ話〜
真珠 原案 ロゼマリーン様協力ようこそ、リュミエール様の館へ。
あなた様は新しい女王候補の方ですね?。
リュミエール様の館に全身の勇気を振り絞って訪れた
あなたを迎えたのは13才くらいの少女のような華奢な少年だった。
フワフワの金髪、人形のように白く整った顔に
場違いの様な屈託の無い笑みをのせて彼は迎えてくれた。
一番最初にリュミエール様のところにおいでになるとは…
リュミエール様におつかえする僕もとても嬉しいです。
ああ、申し訳ありません。嬉しさのあまり御挨拶が遅れました。
僕は、この館の一切を任されております。
執事のミシェルと申します。
普段はこのような無作法はないのですが…本当に申し訳ありませんでした。
それにしても今はリュミエール様は執務中と御存知でいらっしゃると思うのですが?
なぜ、この館へ?
えっ?話がしたかった、僕とですか?。あぁ!リュミエール様のことを知りたいのですか。
はい。大丈夫です。仕事中ではありません。
それに、そう思われると言う事は…あなた様はリュミエール様のことを…。くすっ。
僕は、そんな方は歓待しないではいられませんからね。
さあ、どうぞ。リュミエール様は留守中だからといって
訪ねていらした方を追い返すようなことは決して喜ばれませんから
僕に出来ますかぎりのおもてなしをさせていただきます。
ここは応接間です。
今、御飲み物をお持ちしますね。
さあ、どうぞ。緊張してらっしゃるようなので「オレンジのフラワー
ティー」を持ってまいりました。これは、とても良い香りで気分を落ち着かせてくれますよ。
そうそう、ハーブの効用や用途などはリュミエール様から教えていただきました。
もっとも僕なんて、時々、忘れてしまうので年中本が手放せなくて大変です。
でもリュミエール様の私邸を預かり、
一人で身の回りのことをさせていただいていますのは
僕のワガママなので手落ちなんて
僕自身が許せませんから頑張っています。
ああ、リュミエール様の事は何からお話しましょうか?
そうですね。あなた様はリュミエール様の髪、綺麗だと思われますよね?
本当に信じられないくらい綺麗ですよね。
しかも不思議な事に、夜お休みになられた後も
決してクセがついたり、からまったりすることがないのです!
えっ?髪を梳く?そうなんです。全然からまったり、クセがついたりしないので
儀礼的なのですが、やはり髪を整えさせていただいてるのです。
御自分でなさってしまおうとするのですが、あの髪にさわれるのは僕の特権ですし。
その為に他の召し使いに辞めてもらったんですから強引にやらせていただいてます。
そうです。僕、リュミエール様のお世話を全部したいから
他の方に辞めていただいたんです。うふふふ。
それで、リュミエール様が御結婚なさったら、奥様とテラスで召し上がるお茶を煎れたり
お子様がお2人をジャマしないように面倒みたり…そういうのが夢なんですよね。
あなたも頑張って下さいね、期待していますから。
ああ、奥様になる為の厳しい条件なんてありませんよ。
ただリュミエール様に愛されておいででしたら、それだけで。
ああ、リュミエール様のお顔を洗われる水やオフロの用意も僕がしています。
もちろん香り良く、ふふふ…ナイショですけど美容効果のあるハーブを
オリヴィエ様におそわってつかってあります。
でも、効果が出てるかと言うと…もとから綺麗な方ですし分かりませんね…
ちょっと残念です。
なにもなさらなくても、なんとなくリュミエール様って良い香りがするし
日焼けなさったり肌が荒れたりなさらないみたいですよ。
用事があって聖地から出かけたりなさっても全然おかわりありませんし。
ハーブティーも良いのかもしれませんね。
たいていのお茶はカフェインを含みますけどハーブティーはないですから。
それに特にご指定のない時は出来るだけ美容に良い効果のハーブティーをお勧めしてますから。
お出かけになる時にも、そういうお茶をメインにお持たせしてるですよ。
オリヴィエ様にも、ここのお水をお分けするのと交換条件で御協力いただいて
そういうお茶を勧めていただいています。
オリヴィエ様が水を欲しがる理由ですか?ここの水は、なんでもとても美容にいいんだそうです。
オリジナルの化粧水をつくるのに、ここの水でないとダメなのだそうです。
さすがは水の守護聖様の側ですよね。
あとは飲んでも美味しいそうで、それでいらっしゃる方も…
セイラン様とか…ええと…その………とか…
ああっ!商人さんが営業妨害だとかって怒鳴り込んできたこともありました。
僕、つい商人さんのところで水を買おうとしてたゼフェ…いえ、買おうとしてた方に
ここの水の方が美味しいって言ってしまったものですから。
その方からセイラン様にも伝わっちゃって商人さんの水が売れなくなっちゃったんです。
本当に気の毒なことをしてしまいました。
あなたは商人さんから買ってあげて下さいね。
おやっ、そろそろリュミエール様がお帰りの時間です。
あなたはどうなさいますか?えっ?お帰りになる?!
表で馬車の止まる音がする。
クスクス。残念でした!。遅かったようですね?。
ミシェルはいたずらな感じに瞳を輝かせて舌をだした。
大丈夫です。リュミエール様は留守中にあがりこんで…なんてお考えになる方ではありませんよ。
今夜は特別に頑張ってステキな夕食を準備いたしますよ。
お楽しみに!
そういうと彼はあなたを残してリュミエール様を出迎えに行ってしまいました。
おしまい
注…ミシェルはオリキャラです。本当は〜〜〜。
真相は銀の弦のゼフェルの「オレと奴の関係」でどうぞ。
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水鳴琴の庭 金の弦 ****