宮殿のヒミツ
by真珠&ロゼマリーン様今日もアンジェは元気いっぱいっ!
宮殿せましと駆け回る。
陸上選手だったんだもん、広い宮殿だってヘーキ。
時々、ジュリアス様に怒られちゃうけど
思いっきり元気に御挨拶してるうち、そんなに言われなくなっちゃった。
たぶん…こんなアンジェだから気がついた、宮殿のヒ・ミ・ツ。
ある日、私はリュミエール様のおへやにお話をしにいった。
だって大好きなリュミエール様のこと、いっぱい知りたいんだもん。
幸せな時間は、あっと言う間に過ぎてリュミエール様の
ステキな微笑みに見送られて御部屋を後にすると思わずため息。
でもプルプル首をふって正気に戻ると学習の為
今度はヴィクトール様の執務室へ向かう。
学習さぼってリュミエール様の星が壊れたら、悲しまれちゃうもん。
それだけはジュリアス様に怒られるより絶対ずぅーとイヤっ!
宮殿から学芸館までダッシュするのに、丁度いい距離。
思いっきり走ったところでスッキリして学習するのよ。
ヴィクトール様の執務室のドアをコンコンっと叩くと中から返事。
「しつれいしまーす」
扉を開けると…あ…あれぇーっ?
リュミエール様っ!!!
ヴィクトール様の執務室にいらしてたんだぁ。
って、喜んでる場合?
いったい、いつ先に行かれたんだろう???
私、リュミエール様の部屋の前から、ここまでずっと走ってきたのにぃ?
考えているうちに会釈して出ていってしまわれた。
またプルプル首をふる。
ダメダメ集中しなきゃ、リュミエール様の星を壊したらダメなんだからー。
そうして頑張ったかいあって安定度があがった。ニマッ。
でも、気になる…リュミエール様…フシギです。
そういえば、こーいうおかしな事があるのはリュミエール様だけじゃないのよね。
この間なんか、行った先行った先にクラヴィス様がいらしてギョッとした事があるし
他の方も一回だけ先回りされたのなら、かなりある。
それだけじゃないのよね。公園の噴水って覗くと気になる人が見えるって言うじゃない?
毎日3回は見てるんだけど…そう、あの日はレイチェルとリュミエール様が森の湖に行ったのよね。
私は気になって公園の噴水に行ったの。
そしたらリュミエール様はゼフェル様の私邸に行ってたのよね。
レイチェルが無作法してリュミエール様にふられたのかと思ったわ。
でも翌日の占いでは親密度が、かなりあがってた?。
レイチェルが湖から帰ってきたのは、それを見た後だし、
あの時は失礼しょうちで実際に森の湖に行けばよかったと心底くやんだわ。
それだけじゃないわ。
その日はルヴァ様に育成をお願いしなくちゃならなくてルヴァ様の執務室へいったのよね。
そしたらいらっしゃらなくって公園の噴水で調べてみたらリュミエール様の執務室にいらっしゃった。
で、ヤッターって思って行ったら…いたのよね、
ルヴァ様じゃなくてレイチェルが…。
レイチェルと鉢合わせした後、そのままルヴァ様の執務室に行ったけど
やっぱりいらっしゃらなくて…もう一回、公園の噴水を覗いたら…
まだリュミエール様の執務室にいらっしゃって、行ってみたら今度は本当にルヴァ様がいたわ。
これは一体どういう事なのかしら?
そういえば、執務室を訪ねて来た方は扉からお帰りになるけど
廊下で擦れ違った事ってないような?
もしかして自分は女王陛下の宮殿のヒミツに近づいてしまったのだろうか?
こ…これは…なんとしてもナゾをときたいっ!
そのチャンスは意外に早くきた。リュミエール様の執務室へおじゃますると
ジュリアス様と談笑中…用事が無かった事にして帰れば
常々、廊下を走らないように言ってらっしゃるジュリアス様のこと
ご自分の執務室まで、どうやって戻るか見れるはずだわ。
思ってる間に帰って行くジュリアス様、私はあわててリュミエール様に用事が無い事を告げると
たった今、ジュリアス様が閉めた扉を開けて飛び出した。
「い…いない?」廊下はガラーンとして誰もいなかった…。
いつも走るなっておっしゃってるのに…。
いえ!…あのジュリアス様がご自分の言った事をご自分でやぶるわけない…。
それに、いくら走っても…この間では無理なはず。
第一、私は良く走るからわかるけど、走った後の空気の乱れがない。
こんなの…不自然だ。
おそるおそるジュリアス様の執務室にうかがうと
ちゃんとジュリアス様はいらっしゃって、いつもと同じように厳めしい顔で出迎えて下さった。
私は真相を追究する勇気もなえ、ヨロヨロと寮に帰った。
寮に帰るとレイチェルがいたわ。
そうだ、彼女なら頭がいいから何かわかるかも?
きいてみよう、そうしようっと!
私は一部始終を彼女に話した。
すると意外な話が聞けた。
「しょーがないなー。そんなこと今ごろ気がついたの?
まぁ天才のワタシみたいに何でも出来るわけじゃないもんね。
知りたい?じゃあ、ちょっとだけ教えてあげるよ。」
彼女の話によると執務室の扉は一種の時空の門になっていて
特別な指輪を持っていると念じるだけで好きな所に瞬時にいけるんだって。
でも、じゃあルヴァ様は?
「きゃはははは、アナタってばっかねー。
あの時ルヴァ様はリュミエール様の執務室の隣の私室でお茶を飲んでらっしゃったのよ。
気がつかなかったわけ?ひっどーい!。私達の用が終わるまで待ってて下さったんじゃない。」
そうだったんだー。でもそんな便利な指輪があるなら私達にもほしかったわね。
「ワタシもってるよ。アナタだってもらったじゃん、一番最初に。」
レイチェルが見せた指輪は確かに見慣れた女王候補の証と言ってもらったものだった。
えっ?そんな事…わ…忘れてた。
「ワタシは天才だからすぐわかったけど、説明された時アナタちんぷんかんぷんって顔だったもんね。
きゃはははは、まあ、天才のワタシと一緒にされちゃアナタが気の毒だよね。」
レイチェルに笑い倒されてヨロヨロだった私は、さらにメロメロになって寝てしまった。
そう、もう一つ重大な事を忘れて…。
翌朝、寮から出るとレイチェルがオスカー様と森の湖に行くところだった。
私の記憶に訴えかけるシーンにドッキリして公園の噴水に向かうと
意を決して覗き込んだ。
オスカー様はリュミエール様の私邸にいらっしゃった。
私はニンマリ笑うと森の湖にむかった…ナゾはとけるはず。
おしまい
この話は事実に基づいております。続きはアナタのゲームの中で…。
真相を知っている方がいましたらご一報を。
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水鳴琴の庭 金の弦 ****