Ever
Blue 水色真珠
抜けるような晴れた空の下・・・柔らかな風をうけながら
波が寄せては返していく、陽を受けてきらめく光が波間を踊る。
砂浜の白い砂をほっそりとした美しい足跡が波打ち際を飾るような
美しい曲線で続いていく。
私は重い女王のベールや飾りをむしりとると自分の足跡より大きめな、
それの後を無理に歩幅をあわせて辿っていった。
砂丘とはまゆうの花の向こうに清流のような髪が風に流れるのが見えた。
声をかければ届く距離なのに、きっと穏やかに微笑んで迎えてくれるのに、
私は・・・ひたすら下を向いて足跡だけを辿りつづけた。
足元に絡みつく波は白いレースの海の裾飾り、その間に水色の透明な石を見つけた。
楕円の石は拾って光にかざすと乾いてスリ硝子のようになってしまう。
ビーチグラス・・・ガラスの欠片が波にもまれて出来たのだと
二人で浜を歩いた時に聞いたっけ。
ちゃぷんと石を落としてやると海の白いレースの中で転がりながら輝く・・・
この白いレースに縁取られた海のドレスをまとい、この石のブローチを着けたら
私も海になれるかしら・・・
苦しみも悲しみも怒りも憎しみも・・・
砕けたガラスを、この水色の透明の丸い石にしてしまうような・・・
海のように・・・なれるかしら・・・
苦しさゆえ悲しさゆえ怒りゆえ憎しみゆえ砕かれたグラス・・・
楽しい祝杯をあげたかも、愛しい人からの贈り物かもしれなかった・・・
それを自ら砕くような、その痛みを包み込み、
その破片がその人を他人を傷つけなくなるまで深く抱く
海に・・・なれないかしら・・・。
海そのもののような、やわらかなあたたかさが
後ろから私を抱きこんだ。
砂丘の向こうから手を振りながら駆けて来た一団が
先頭のロザリアに錫杖を振り上げられて慌てて後ろを向く。
躓きながら、よろめきながら、それでも歩いて行ける
そう思う。
ひとりじゃないから・・・それゆえに・・・
Forever
****
水鳴琴の庭 金の弦 ****