いしづえ
春花様&ロゼマリーン様作ある日、女王候補がセイランの部屋にやってくると、セイランは本をよんでいた。
「なんの本よんでるんですか?」
女王候補にいわれてセイランがさしだしたものは、小学校の教科書だった。
あまりにも意外なものなんでおどろいてしまう。
「かわったものをセイラン様は読書するんですね」
「そう?」
とくに気にしたようすもなくセイランは本を引き出しにしまうと
「今日の用事はなんなのかな?」
といった。
「学習をおねがいします」というとセイランはいつもの教科書をだしてきた。
「今日はおもしろいことを教えてあげるよ」
セイランが言って開いたページには有名な古典画家の絵がのっていた。
「この画家をしっているかい?」
女王候補が「はい」というとセイランは「とうぜんだね」と言って本をとじた。
「じゃあ、この画家にもっとも強い影響を与えたのは?」
女王候補は答えられなかった。
セイランはクスッとわらった。
「知らないの?女王になるんなら、もう少しまわりのことも知る努力も必要じゃない?」
女王候補は怒ってしまった。
学校の勉強の続きをしにきたんじゃなくて感性の学習にきたんだもん。
でもセイランは気にしないで、もう一度さっきの教科書をだした。
小学校の教科書のページをひらくと女王候補にさしだした。
「絵を見て気がつくくらいの感性があって欲しいね」
そこにはさっきの古典画家の絵と説明がのっていた。
「えーと、もっとも強い影響をあたえたのは…」
女王候補はおどろいて続きが読めなくなった。
そこにはみなれた名前がのっていたからでした。
「ぐうぜんの一致じゃないよ。」セイランはわらうと教科書の前のほうのページをひらいた。
リュミエールの写真と絵がのっていた。
「するどい感性をもっていれば視野のせまさを、みずから気がつくはずさ。
女王の感性はそうあって欲しいものだね。」
女王候補が「はい」といってかえっていくとセイランは髪をかきあげて
「まったく、いやになるよ。」といって本をみながらわらった。
終り
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水鳴琴の庭 銀の弦 ****