「へぇ…僕に?

どんな話があるっていうんだい?」

 

「おや?

話があるって言っておきながら

だんまりかい?

それじゃあ困るな…

僕の方が先に言ってしまうじゃないか。

愛していると。」

 

「…ほらね。

やれやれ

そんなに真っ赤になってモジモジしてたって

ダメさ。

君はとてつもなくいじわるで…

この上もなく愛らしく愛しい天使だ。

1000年に一度のひらめきの

音楽も詩も絵も

その笑顔ひとつでゴミ同然と気づかせてくれる。」

 

「いや…怒ってるんじゃないさ…

真実なんだから。

君こそ最高の主題…

生涯をかけるに相応しい音楽であり詩であり絵画…

いや…そんなものでは表しきれない

僕の愛の全て…。」

 

「ごらんよ。

青紫から漆黒へゆるやかに移りゆく夜空に輝くオーロラの

虹の羽衣が舞うさまさえも君のつま先を染める価値さえない。」

 

「それで…

僕は、いつまで意地悪な天使にじらされてなくちゃならないのさ。

君は僕に愛を与えてはくれないの?

ねぇ、天使様。」

 

「わかってるくせに?

なにがどうわかってるのか

君の口から聞きたいのさ。

でないと

この腕の中から出さないよ。」

 

「いい?

それじゃあ一生、君は僕の腕の中だ。」

 

「あぁ『クリスマスクロス』の共鳴音が鳴りはじめたね。

1000年に一度だけ惑星が正十字に並ぶ時に

聞こえるという言い伝えの音…。

僕は、あれを聞きに来たんだ。

だけどわかったのは

やっぱり君の方が愛しいということだけさ。」

 

1000年に一度の歴史的な美の前に

二人が感じたのは

お互いのぬくもりの愛しさだけでした。