「はぁ?私を?!
それは嬉しいですね〜。
私はあなたが誰かと待ち合わせかと思いましたよ。
えぇ、それで一人寂しく本でも読もうかと…。
でも他のことでしたら
大抵のことは本を読んでるうちに忘れてしまうんですけど
あたなのことだけはダメなんですよね。
本を読んでいても気がつくと
あなたのことを考えていて
ページをめくることを忘れてるんです。」
「あなたの笑顔ばかりがうかんで…
胸が痛くなるくらい
あなたに会いたくなってしまうんです。」
「あ…わ…私、なにかヘンなことを言いましたか?
あの…その…な…泣かないで下さいよ。
はぁ?嬉し涙って…そ…そうなんですか。
いえ、その…うろたえちゃってすいません。
は〜、嬉し涙?
えぇ?あ…あのーそのー
そ…それじゃあ…もしかしたら、あ…あなたも…私を…?
あ…あぁ、すいません。
なんだか夢みたいですね〜。
夢じゃないんですね〜。」
「あ…大丈夫ですか?
今、くしゃみしましたね〜。
か…風邪ひいたら大変ですよ〜。」
「あ〜そうですねぇ。
これこれ。このターバンを…。
えぇ、取ってしまってもいいんです。
あなたの前だけですけど。」
「ど…どうでしょうね〜?
マフラー代わりになりますかね〜。
ちょっと長すぎ…ハックション。」
「あ〜私も巻いた方がいい?
そ…そうかもしれませんね〜。」
「あ〜確かに暖かいですね〜。
……でも、それは…
あなたと、く…くっいてるからのような気がし…しますよ。
こ…こんなにグルグル巻きでは
は…離れるのは無理そうですけど。」
「あ…右足から踏み出しましょうね〜。
ほ…ほら、この樹氷の向こうにでると…
あぁ…やっぱり…綺麗なオーロラですね〜。
こ…この倒れた木に腰掛けましょうかね〜。」
「え〜と、右、左、右…おっと〜」
「あ…はははは、だ…大丈夫ですよ。
すいません、出す足間違えちゃいましたね〜。
あなたまで転ばなくてよかったですよ。」
「綺麗なオーロラですね〜。
星を取り巻く電場、太陽風の磁場、星の磁場は殆ど常に変動して、
放電電子ビームをコントロールし、その結果として壮麗なオーロラ活動をですね〜。
…
…
えっ?あ…あの…あなたの方に…みとれてしまいました。」
「え…あ…あの…その………
いえ、重くないですよ〜。
あなたがもたれかかっている肩から
暖かさが広がっていくようです。」
「あ…『クリスマスクロス』の共鳴音が響いてきましたね。
1000年に一度、惑星が正十字に並ぶ時に聞こえるんですよ。
教会の鐘の音みたいですね〜。
これが聞こえるということは、今はちょうど0時なんですよ。
私は、この音が聞きたくて
ここへ来たんですけど
今は…あなたばかりが気になって…
あなたとこうしていることが幸せすぎて
何も考えられそうにありませんね〜。」
倒木に寄り添いながら腰掛けて空を見上げる2人を
オーロラがそっと包みました。