「たすかりました。

ずっと、やってみたかったんですけど。

ひとりではちょっと…。

あぁ、誰もいないけど綺麗な湖面ですね。

鏡みたいに凍って、星が映りそうですね。」

 

「あ!あぶない!だ…大丈夫ですか?

よかった、転ぶ前に支えられて。

あなたに、もしものことがあったら…。

えっ?僕ですか。

あ…あぁ、滑れるみたいですね。

もっと難しいものだと思っていました。」

 

「付き合せてしまってすいません。

あの…約束があったんじゃありませんか?

だって…今日はクリスマスイヴですし…

僕なんかとスケートなんて…いいんですか?」

 

「め…迷惑?!とんでもありません。

僕はあなたと一緒で嬉しくて

さっきから胸がドキドキして痛いくらい…

でも…あなたは…恋人とすごしたかったんじゃ…」

 

「僕…そう思いながら、それでもあなたといたい。

誰にも渡したくない…。

ずっとずっと、この腕に抱きしめて…。」

 

「ごめんなさい…わがままですよね。」

 

「え…あ…あの…いいんですか?

行かないで…。僕の腕の中で…。」

 

「…あ。『クリスマスクロス』が響き合っていますね。

1000年に一度、惑星が正十字に並ぶ時に

あの鐘の音のような共鳴音が鳴るのだそうですよ。」

 

「…わかります。あなたと僕の心も響きあっているのが…。

なんて綺麗な音色なんでしょう。」

 

「…

あ!見てください。

氷にオーロラが映ってますよ。

まるで僕達オーロラの上に立ってるみたいですね。」

 

「あの…僕が支えていますから

滑りませんか。

絶対に大好きなあなたを離したりはしませんから。」

 

オーロラの光に輝く氷の上を2人は静かに

滑りつづけました。