けたたましいスノーバイクの音がして
聞きなれた声に怒鳴られた。
「おめー何してんだよ。
こんなとこで寝るな〜!
死んじまうぜ!
おい!!」
気がつくと病院だった。
ベットの横で怖い顔でゼフェル様がにらんでいた。
「俺もムチャだけどよー。
おめーもムチャクチャな奴だな。」
「リュミエール?
そういや、おめーを危ない目にあわせたんで
いたたまれないってよ。
さっき出て行ったぜ。」
追いかける!
人の気配がした。
倒れて動けない私を鋭い目が見ている。
「ふん、俺の知ったことじゃねぇ…
知ったことじゃねぇ…けど…
しょうがねぇなぁ。
病院に連れて行くぞ。
嫌だって言っても…俺のしったことじゃねぇ…」
気がつくと病院だった。
ベットの横でアリオスが頬杖をついて見ていた。
「安心しろ…もう俺は魔道の力を失った
ただの旅の剣士だ。
何もできやしねぇよ。
もちろん、あんなとこで凍っちまった奴も
元には戻せねぇからな。もうムチャすんなよ。
「リュミエール?
さーな、さっき悲しそうな顔して
ふら〜と出て行ったぜ。
お前を危険な目に会わせて責任感じてんだろう。」
追いかける!
軽い足音と溜息が聞こえた。
「雪の中の少女・・・?それなりに美しいけど
自然の美を愛でるには邪魔だね。
どいてもらうよ。」
気がつくと病院だった。
ベットの横でセイラン様が窓の外を見ていた。
「無謀はチャレンジとは違うと思うんだけど。
君には分からないみたいだね?。
結果、大事な人間が心を痛めることになっても
それでいいのかい?
さっきリュミエール様が
この世の終わりって顔なさって出て行かれたよ。
君に合わす顔がないって…
僕は君の方にこそ非があると思うけど?。」
「少し考えてみるんだね。
いや、それよりも先にやることがあるんじゃないかい?。」
はい、追いかけます!
「リュミエール様!待ってください!」
慌てて病院の玄関を出ようとする後姿に声をかけた。
ふりむいたリュミエール様の
どこか空ろな悲しげな瞳に胸が痛む。
「ごめんなさい。
ご心配をかけてしまって…。」
抱き付いて謝るとリュミエール様は冷え切った手を伸ばして
私を抱きしめた。
「あなたを…失ってしまうかと思いました。
私は…自分の愚かさを
どれだけのろったでしょう。」
リュミエール様の身体が寒さのせいではなく
冷え切って震えているのが
痛いほどわかった。
「ごめんなさい。リュミエール様のせいじゃないんです…
私…。」
「いいえ、あなたがただムチャでしたことではないのは
わかっています。
私を案じて下さったのだと言うことも…。」
なにも言葉にならなくて…
私の温もりを伝えようと
私をかたく抱きしめる
リュミエール様の頬にそっと手をあてた。
まだ足りなくて
リュミエール様の首に抱きつき
くちびるとくちびるをあわせると
ようやく熱が伝わっていく気がした。
ごめんなさい…そして愛しています…
心の中で呟いた想いは
きっと伝わったはず。